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プロファイル情報の追加 (CORE)

by WebSurfer 2020年5月23日 14:09

ASP.NET Core 3.1 MVC アプリに ASP.NET Core Identity ベースのユーザー認証を実装して、プロファイル情報(カスタムユーザーデータ)としてハンドル名を追加し、ログイン時にページのヘッダ右上にデフォルトで表示される Email に代えてハンドル名を表示する方法を書きます。

ハンドル名の表示

プロファイル情報を追加するには Microsoft のドキュメント Add, download, and delete custom user data to Identity in an ASP.NET Core project の Run the Identity scaffolder セクションに書いてあるように、IdentityUser を継承した xxxxxUser クラス(xxxxx はデフォルトではプロジェクト名)を作ってそれを使う必要があります。

そのようなプロジェクトの作成手順は、先の記事「ASP.NET Identity で MySQL 利用 (CORE 版)」のステップ「(1) プロジェクトの作成」とステップ「(2) ASP.NET Core Identity の実装」を見てください。

以下の説明は Visual Studio 2019 でプロジェクト名を MySQLIdentity として作成した ASP.NET Core 3.1 MVC アプリをベースにしています。そのプロジェクトは、記事に書いたとおりデータベースは MySQL を使うように変更していますが、以下のプロファイル情報の追加手順は SQL Server でも同じです。

(1) HandleName プロパティの追加

プロジェクトの Areas/Identity/Data/MySQLIdentityUser.cs ファイルに IdentityUser を継承した MySQLIdentityUser クラスが定義されています(注: MySQLIdentity の部分はプロジェクト名になります。すなわちプロジェクトによって変わります)

プロジェクト作成時点では MySQLIdentityUser クラスの中身は空です。それに HandleName プロパティを追加します。以下のような感じです。

using Microsoft.AspNetCore.Identity;

// 追加
using System.ComponentModel.DataAnnotations;

namespace MySQLIdentity.Areas.Identity.Data
{
    public class MySQLIdentityUser : IdentityUser
    {
        // プロファイル情報としてハンドル名を追加
        [PersonalData]
        [Display(Name = "ハンドル名")]
        [Required(ErrorMessage = "{0}は必須です。")]
        [StringLength(128, ErrorMessage = "{0}は{1}文字以内で入力してください。")]
        public string HandleName { get; set; }
    }
}

そのあと Migration 操作を行うと Entity Framework Code First の機能によりデータベースには HandleName フィールドが追加されます。HandleName フィールドはデータアノテーション属性の Required により NULL 不可に、StringLength の引数 128 により varchar(128) になります。

後で気が付いたのですが、表示名や検証のエラーメッセージは Razor ページで別に定義したモデルに付与した属性のものを使うので、ここで上のように DisplayName 属性やエラーメッセージを付与しても意味はなさそうです。しかし、害もなさそうなのでそのままにしています。

PersonalData 属性は、参考にした Microsoft のドキュメントによると "it's automatically available for download and deletion. Making the data able to be downloaded and deleted helps meet GDPR requirements." とのことです。

その "downloaded" というのは Manage ページでユーザー情報の JSON 文字列を PersonalData.json という名前のファイルにしてダウンロードする機能で、その中にハンドル名のデータが含まれるようになります。PersonalData 属性を付与しないとプロファイル情報は含まれないのかは未検証です。

"deleted" はユーザー情報がすべてデータベースから削除されるという動きになります。PersonalData 属性を付与しようがしまいが全削除には変わりはないと思われるのですが・・・

(2) Add-Migration

Visual Studio のパッケージマネージャーコンソールで Add-Migration CustomUserData コマンドを実行します。CustomUserData という名前は任意です。

成功すると Migrations フォルダに xxxxx_CustomUserData.cs という名前(xxxxx は作成日時)のクラスファイルが生成され、それに以下のようなコードが含まれているはずです。

using Microsoft.EntityFrameworkCore.Migrations;

namespace MySQLIdentity.Migrations
{
    public partial class CustomUserData : Migration
    {
        protected override void Up(MigrationBuilder migrationBuilder)
        {
            migrationBuilder.AddColumn<string>(
                name: "HandleName",
                table: "AspNetUsers",
                maxLength: 128,
                nullable: false,
                defaultValue: "");
        }

        protected override void Down(MigrationBuilder migrationBuilder)
        {
            migrationBuilder.DropColumn(
                name: "HandleName",
                table: "AspNetUsers");
        }
    }
}

上のコードは、既にデータベースには ASP.NET Core Identity 用のテーブルはすべて生成済みという状態にプロファイル情報 HandleName を追加した場合です。プロジェクト作成直後のデータベースには何もない状態で Add-Migration を実行した場合に生成されるコートとは異なります。

(3) Update-Database

Visual Studio のパッケージマネージャーコンソールで Update-Database コマンドを実行します。成功すると ASP.NET Core Identity 用のデータベースの aspnetusers テーブルに HandleName フィールドが追加されます。

aspnetusers テーブル

この記事ではデータベースは SQL Server ではなく MySQL を利用しています。nvarchar でなく varchar となっているのは MySQL の事情です。

MySQL のドキュメント 10.3.7 The National Character Set によると、"MySQL uses utf8 as this predefined character set" なのでどちらでも同じなのだそうです。ちなみに create 句で nvarchar と指定しても、生成されるのは varchar になります。

(4) Register ページの修正

Areas/Identity/Pages/Account/Reguster.cshtml.cs の OnPostAsync メソッドに、以下の画像の赤枠のコードを追加します。登録時にはハンドル名は自動的に Email と同じになるようにするものです。

Register ページの修正

上のステップ (1) で HandleName プロパティには Rquired 属性を付与しましたので、aspnetusers テーブルの HandleName フィールドは NULL 不可になっています。ステップ (3) の画像を見てください。

そのため、新規ユーザーの登録を行う際 HandleName を入力しないと CreateAsync でエラーとなります。と言って、登録時の手間を増やすとユーザーに面倒がられると思われます。

なので、登録時には自動的に HandleName は Email と同じになるようにし、後で変更できるようにしました。

(5) ハンドル名の変更機能を実装

ログイン後、ページのヘッダの右上のユーザー名(デフォルトで Email)をクリックすると Manage ページに遷移しますが、そこでユーザーがハンドル名を任意に変更できるようにします。

まず Areas/Identity/Pages/Account/Manage/Index.cshtml.cs の InputModel クラスへのハンドル名用のプロパティの追加と、LoadAsync ヘルパーメソッドでのハンドル名の InputModel への設定のためのコードを追加します。入力できるハンドル名の長さはとりあえず 30 文字に制限してみました(当該 input 要素に maxlength="30" が設定されます)。

InputModel クラスの処理

同じく Index.cshtml.cs のコードの OnPostAsync メソッドにハンドル名の変更をデータベースに反映するコードを追加します。

ハンドル名の変更処理

次に Areas/Identity/Pages/Account/Manage/Index.cshtml にハンドル名入力用のテキストボックスを追加します。

ハンドル名用テキストボックス追加

(6) ハンドル名の変更操作

ユーザーがログインするとページのヘッダの右上に Hello xxxxx! と表示され、それが Manage ページへのリンクになります。それをクリックするとプロファイル情報の編集画面に遷移します。

上のステップ (5) で加えたコードの修正により、画面にはハンドル名入力用のテキストボックスが表示されています。

ハンドル名の変更

初期画面では[ハンドル名]テキストボックスには[Username]テキストボックスと同じメールアドレスが表示されます。それを任意の名前に設定し[Save]ボタンをクリックするとハンドル名は変更されます。

上の画像は初期画面のメールアドレスを WebSurfer というハンドル名に変更した後のものです。

(7) ClaimsIdentity へ追加

ページのヘッダの右上に Hello xxxxx! と表示される xxxxx にはデフォルトではメールアドレスが表示されていますが(上のステップ (6) の画像参照)、それをハンドル名に変更します。結果、この記事の一番上の画像のようになります。

プロファイル情報を Claim として ClaimsIdentity オブジェクトに追加し、拡張メソッドを使って ClaimsIdentity オブジェクトからハンドル名を取得・表示するようにしています。

ClaimsIdentity オブジェクトにハンドル名を追加すると、認証クッキーにハンドル名が含まれるようになります。認証クッキーからハンドル名を取得できれば、毎回データベースにクエリを投げて取得するより負荷は軽い(であろう)というのが ClaimsIdentity を使う理由です。

プロファイル情報を追加・取得するための詳しい手順は、先の記事「ASP.NET Core MVC の ClaimsIdentity」に書きましたので見てください。

注意すべき変更点は、(1) その記事は PhoneNumber を使っていますが、それを HandleName に変更、(2) IdentityUser を MySQLIdentity.Areas.Identity.Data 名前空間の MySQLIdentityUser に変更、(3) ClaimTypes の HomePhone を GivenName に変更(GivenName でなくても良いですが Name はすでに使われているようで NG)・・・です。

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2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

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