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.NET 6.0 ASP.NET Identity に MySQL 使用 (CORE)

by WebSurfer 2021年11月27日 13:53

先の記事「ASP.NET Identity で MySQL 利用 (CORE)」に、ASP.NET Core 3.1 MVC アプリで ASP.NET Identity のユーザー情報のストアに MySQL を利用するにはどうするかということを書きましたが、その Visual Studio 2022 + .NET 6.0 版です。

先の記事と違うのは、Visual Studio Community 2022 のテンプレートを使って .NET 6.0 でプロジェクトを作ったところと、非推奨になった NuGet パッケージ MySql.Data.EntityFrameworkCore に代えて Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql を使ったところです。

先の記事で使った MySql.Data.EntityFrameworkCore は非推奨になったので、まずその代替えの Oracle 製 MySql.EntityFrameworkCore を使おうと思いましたが、この記事を書いた時点での最新バージョンが 5.0.8 で .NET 6.0 には対応してなさそうです。6.0.0-preview3.1 というのがありましたがプレビュー版ですし、依存関係が net5.0 と書いてあったので使うのは止めました。(一応 5.0.8 を試してみましたが Add-Migration に失敗します。さらに後日 6.0.1 も試しましたがやはり Add-Migration に失敗します)

Oracle は Entity Framework 対応は積極的ではなさそうな感じです。一方、Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql はこの記事を書いた 2021/11/27 時点でバージョン 6.0.0 がすでにリリースされていましたので、この記事ではそれを使ってみました。

結果、Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 で一切支障なく ASP.NET Identity 用の MySQL データベースを構築できました。Oracle にはあまり期待しない方が良いのかも。

(1) プロジェクトの作成

Visual Studio 2022 のテンプレートを利用して .NET 6.0 の ASP.NET MVC アプリを作成します。「追加情報」の設定で[認証の種類(a)]は必ず「なし」としてください。

新しいプロジェクトの作成

(2) ASP.NET Core Identity の実装

ASP.NET Core Identity はスキャフォールディング機能を使って実装しますが、その前に、NuGet で Microsoft.VisualStudio.Web.CodeGeneration.Design をインストールします。

Web.CodeGeneration.Design

その後で Microsoft のドキュメント「ASP.NET Core プロジェクトでの Identity のスキャフォールディング」を参考に ASP.NET Core Identity を実装します。

ID の追加

レイアウトページはステップ (1) で生成したプロジェクトのレイアウトページ ~/Views/Shared/_Layout.cshtml を設定します。

ASP.NET Core Identity 関係のすべてのファイルを取り込むため[すべてのファイルをオーバーライド]にチェックを入れます。

コンテキストクラス名、エンティティクラス名は任意ですが、この記事では ApplicationDbContext, ApplicationUser としました。 何故かデザイナの + ボタンをクリックすると現れるダイアログのテキストボックス内で名前を設定しないとダメなので注意してください。また、エンティティクラス名を設定する際、コンテキストクラス名と同じ名前空間を追加しないと、コンテキストクラスと異なる名前空間になり、後で面倒なことになるので注意してください。

その後、追加した ASP.NET Core Identity 関係の Razor ページが働くよう、以下の追加・修正を行います。Visual Studio 2022 + .NET 6.0 で作ったプロジェクトでは Stratup.cs は無くなっていますので注意してください。サービス、ミドルウェア追加のためのコードは Program.cs に移すことにしたらしいです。

  1. Program.cs に builder.Services.AddRazorPages(); を追記。
  2. Program.cs の app.MapControllerRoute(name: "default", ... ); を書き換えて endpoints.MapRazorPages(); を追加。(これが無いと Razor ページのルーティングが働かないので必須)
  3. Areas/Identity/Page/Account/Manage/ の _Layout.cshtml で Layout = "/Views/Shared/_Layout.cshtml"; に変更。
  4. Views/Shared/_Layout.cshtml に <partial name="_LoginPartial" /> を追加。

(3) Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql

NuGet で Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 をインストールします。

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql

先の記事で使った MySql.Data.EntityFrameworkCore は非推奨になってました。 代替えパッケージが MySql.EntityFrameworkCore とのことですので、まずそれの最新リリース版 5.0.8 を試してみたのですが、Add-Migration で以下のエラーとなります。

"Method 'AppendIdentityWhereCondition' in type 'MySql.EntityFrameworkCore.MySQLUpdateSqlGenerator' from assembly 'MySql.EntityFrameworkCore, Version=5.0.8.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=c5687fc88969c44d' does not have an implementation."

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql には上の画像の通りバージョン 6.0.0 (.NET 6.0 用) がありますのでそれを使ってみたところ、Add-Migration, Update-Database で問題なくデーターベースを生成できました。

 

(4) 接続文字列の変更

テンプレートで自動生成された接続文字列は appsetteins.json にありますが、それは LocalDB を利用するように設定されていますので、MySQL に接続するように変更します。以下の例を見てください。

接続文字列の変更

例えば、上の画像のように database=coreidentity2 とデータベース名を指定すると、Entity Framework Code First の機能を使って coreidentity2 という名前のデータベースを新たに生成し、そこに必要なテーブルを生成してくれます。

(5) Program.cs の修正

自動生成されれた Program.cs ファイルで、サービス登録のコードが SQL Server を使うように設定されていますが、これを MySQL を使うように変更します。以下のような感じです。

サービス登録の変更

Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql を使う場合、UseMySQL ではなくて UseMySql であること、引数が異なることに注意してください。詳しくは Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql の「2. Services Configuration」のコードを見てください。

(6) プロジェクトのリビルド

ここで一旦プロジェクトをリビルドします。リビルドには成功するはずですが、以下の通り警告が 6 つ出ると思います (現時点での話で将来改善されるかも)。

プロジェクトのビルド

上の 2 つは LoginWith2fa.cshtml.cs での using 句のダブり、残り 4 つは NULL 許容参照型がプロジェクト全体で有効化されているものの一部の .cshtml ファイルのソースコードがそれに対応してないことによります。そこを直してもう一度リビルドします。

(7) Add-Migration の実行

パッケージマネージャーコンソールから Add-Migration CreateIdentitySchema を実行します (CreateIdentitySchema という名前は任意です)。

Add-Migration を実行

上の画像で赤色で反転された文は MySql.EntityFrameworkCore バージョン 5.0.8 を使って失敗した結果のメッセージです。その下が Pomelo.EntityFrameworkCore.MySql バージョン 6.0.0 を使って成功した結果です。

Migrations と言う名前のフォルダとその中に xxxxx_CreateIdentitySchema.cs というファイルが生成されているはずですので確認してください。ファイル名の xxxxx は作成時のタイムスタンプ、CreateIdentitySchema は Add-Migration コマンドで指定した名前です。

(8) Update-Database の実行

次に Update-Database を実行し、Entity Framework Code First の機能を利用して MySQL にデータベース / テーブルを作成します。成功すると、以下のようにデータベースと、必要なテーブルが一式生成されます。coreidentity2 というデータベース名は、上のステップ (4) で接続文字列に指定したものになります。

MySQL データベース

先の記事で問題となった"Specified key was too long; max key length is 3072 bytes" という制約のためエラーになるということはなかったです。

データベース / テーブルは CreateIdentitySchema.cs ファイルのコードに基づいて生成されるのですが、先の記事では主キーの長さが指定されてなかったところが、以下のように varchar(255) に指定されています。

CreateIdentitySchema.cs

utf8mb4 を使用していますので、主キーに設定された varchar(255) は 255 x 4 = 1,020 バイトになります。連結主キーでも制限の 3,072 より小さいので問題ないということのようです。

その後で Visual Studio から MVC アプリを起動しユーザー登録できます。登録したユーザーは上の手順で作成した MySQL データーベースに反映され、登録した ID とパスワードでアプリにログインできるようになります。

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2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

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