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ASP.NET Identity で MySQL 利用 (.NET 版)

by WebSurfer 2020年5月6日 21:43

.NET Framework 版(Core 版ではありません)の ASP.NET Identity でユーザー情報のストアに MySQL を利用するにはどうするかということを書きます。(Core 3.1 版は別の記事「ASP.NET Identity で MySQL 利用 (CORE 版)」を見てください。Visual Studio 2022 + .NET 6.0 の場合は「.NET 6.0 ASP.NET Identity に MySQL 使用 (CORE)」を見てください)

参考にさせていただいたのは「ASP.NET MVC + MySQL で開発環境構築」という記事です(以下、参考記事と書きます)

(1) MVC プロジェクトの作成

Visual Studio 2019 のテンプレートを利用して .NET Framework 版の ASP.NET MVC5 アプリのプロジェクトを自動生成します。

新しい ASP.NET Web アプルケーションを作成する

認証に「個別のユーザーアカウント」を選ぶと ASP.NET Identity を使ったクッキーベースの認証システムが実装され、Entity Framework Code First の機能を使って LocalDB (SQL Server) にユーザー情報を保持するためのデーターベースを作るコードが生成されます。

それを LocalDB (SQL Server) ではなくて MySQL にユーザー情報を保持するためのデーターベースを作り、それを利用するように変更します。

(2) 参照設定

ソリューションエクスプローラーで参照を右クリックして MySql.Data と MySql.Data.EntityFramework を参照に追加します。下の画像を見てください。

参照設定

先の記事「MySQL をインストールしました(その 3)」で書きましたように MySQL 8.0.19 をインストールしており、その時同時にインストールした Connector/NET 8.0.19 に含まれる MySql.Data, MySql.Data.EntityFramework を使うことにしました。

参考記事では NuGet で MySql.Data.Entity をインストールしたと書いてありましたが、NuGet にあるのは今でもバージョンが古いようです。

(3) 接続文字列の変更

テンプレートで自動生成された web.config の接続文字列は LocalDB を利用するように設定されていますので、それを MySQL に接続するように変更します。

以下のような感じです。例えば、database=identity というようにデータベース名を指定すると、Entity Framework Code First の機能を使って identity という名前のデータベースを新たに生成し、そこに必要なテーブルを生成してくれます。(データベース名は任意で、この記事で identity としたのは単なる例です)

<add name="DefaultConnection"
    connectionString="server=localhost;user id=root;password=*****;
    database=identity"
    providerName="MySql.Data.MySqlClient" />

(4) Enable-Migrations

上記 (3) の設定の後、Enable-Migrations を実行すると以下のエラーになると思います��

"ADO.NET プロバイダーに、不変名が 'MySql.Data.MySqlClient' の Entity Framework プロバイダーがありません。アプリケーションの構成ファイルの "entityFramework" セクションにプロバイダーが登録されていることを確認してください"

それを解決するためには、エラーメッセージに応じて、自動生成された web.config の entityFramework/providers セクションに以下のコードを追加します。

<provider 
  invariantName="MySql.Data.MySqlClient" 
  type="MySql.Data.MySqlClient.MySqlProviderServices, 
        MySql.Data.EntityFramework,Version=8.0.19.0, Culture=neutral, 
        PublicKeyToken=c5687fc88969c44d" />

NuGet で MySql.Data.Entity をインストールした場合は web.config への上記の provider の追加は NuGet が面倒を見てくれるようです。

上のコードを web.config に追加した後 Enable-Migrations を実行すると Migrations フォルダに Configuration.cs ファイルが生成されているはずです。

(5) Add-Migration

Add-Migration Initial を実行します(Initial という名前は任意です)。そうすると、参考記事と同様に以下のエラーになると思います。

"プロバイダー 'MySql.Data.MySqlClient' で MigrationSqlGenerator が見つかりませんでした。対象の移行構成クラスで SetSqlGenerator メソッドを使用して、追加の SQL ジェネレーターを登録してください"

エラーメッセージに従って Configuration.cs に手を加えます。以下のコードのコメントで「追加」としている部分がそれです。

namespace Mvc5AppIdentityMySql.Migrations
{
  using System;
  using System.Data.Entity;
  using System.Data.Entity.Migrations;
  using System.Linq;

  // 追加
  using MySql.Data.EntityFramework;

  internal sealed class Configuration : 
    DbMigrationsConfiguration<Mvc5AppIdentityMySql.Models.ApplicationDbContext>
  {
    public Configuration()
    {
      AutomaticMigrationsEnabled = false;

      // 追加
      SetSqlGenerator("MySql.Data.MySqlClient", 
                      new MySqlMigrationSqlGenerator());
    }

    protected override void Seed(
      Mvc5AppIdentityMySql.Models.ApplicationDbContext context)
    {
    }
  }
}

エラーメッセージの SetSqlGenerator メソッドというのは DbMigrationsConfiguration クラスの SetSqlGenerator(String, MigrationSqlGenerator) メソッド です。これをコンストラクタに追加します。

SetSqlGenerator メソッドの第 1 引数には MySQL のプロバイダ名 "MySql.Data.MySqlClient" を与え、第 2 引数には MySqlMigrationSqlGenerator クラスを初期化して与えます。

MySqlMigrationSqlGenerator クラスが属する名前空間は Connector/NET 8.0 になって変わったようで MySql.Data.EntityFramework となっていますので注意してください。(v6.x の時代は MySql.Data.Entity だったはずです)

参考記事に書いてあったコードは上記と違いますが、参考記事の通りとしても問題なく Add-Migration Initial, Update-Database できることは確認できました。しかし、参考記事のコードがエラーメッセージの「追加の SQL ジェネレーターを登録」をどう解決しているのか分からなかったので、エラーメッセージ通りにコーディングしました。

(6) Update-Database

Update-Database で MySQL に必要なデータベースとテーブルを生成します。成功すると、上のステップ「(5) Add-Migration」で生成された Configuration.cs ファイルの内容に従って ASP.NET Identity 用のテーブルが生成されます。下の画像を見てください。

生成されたデータベース

データーベース / テーブルが生成できましたので、Visual Studio から MVC アプリを動かしてユーザー登録できます。登録したユーザーはデーターベースに反映されています。もちろん登録した ID とパスワードでアプリにログインできるようになります。

参考記事では Update-Database で "Specified key was too long; max key length is 767 bytes" というエラーとなったそうです。なぜ参考記事でその問題が起こったのか、この記事では問題なかったかは以下のようなことだと思います。

テーブル AspNetUserRoles は UserId と RoleId がそれぞれ nvarchar(128) で連結主キーの設定になるのですが、charset が utf8 で一文字 3 バイトですと 128 x 2 x 3 = 768 となって制限の 767 バイトを超えます。それが参考記事の問題のようです。

一方、この記事では MySQL 8.x を使っているので上限が 3,072 バイトになっています。(MySQL 5.7 以降では _large_prefix が ON となっており、767 バイトの制限が 3,072 バイトに拡張されているとのこと)。文字コードは utf8mb4 なの���一文字 4 バイトになり、128 x 2 x 4 = 1024 < 3072 なので問題ないということのようです。


旧来のフォーム認証の場合、ASP.NET の認証・承認システムとデータベースの間にプロバイダを配置して、プロバイダを入れ替えることによりいろいろなデータベースに対応していました。例えば SQL Server の場合は専用の SqlMembershipProvider が提供されています。

異なるデーターベースを使う場合はプロバイダを入れ替えて対応します。例えば MySQL の場合は Oracle が提供している MySQLMembershipProvider を利用できます。ただし、プロバイダが提供されていなければ自力でコードを書いてプロバイダを作成しなければなりません。

ASP.NET Identity では上に書いたように参照設定の追加、web.config の設定、追加の SQL ジェネレーター登録(これはすべてのケースで必要かは分かりませんが)で可能なようです。個人的には以前より分かりにくくなった感じがしますが・・・

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MVC

JSON シリアライズの際の循環参照エラー

by WebSurfer 2020年3月8日 15:51

.NET Framework の ASP.NET MVC アプリや Web API アプリでオブジェクトを JSON 文字列にシリアライズするときの循環参照エラーの問題とその回避方法を書きます。

循環参照エラー

例えば、Entity Framework 6 の Code First 機能を利用して、以下のコード(Microsoft のチュートリアル「新しいデータベースへの Code First」のサンプルコードです)からデーターベースを生成し、Linq to Entities で取得したデータを JSON にシリアライズするケースを考えます。

public class Blog
{
    public int BlogId { get; set; }
    public string Name { get; set; }

    public virtual List<Post> Posts { get; set; }
}

public class Post
{
    public int PostId { get; set; }
    public string Title { get; set; }
    public string Content { get; set; }

    public int BlogId { get; set; }
    public virtual Blog Blog { get; set; }
}

public class BloggingContext : DbContext
{
    public DbSet<Blog> Blogs { get; set; }
    public DbSet<Post> Posts { get; set; }
}

以下のコードのように、Linq to Enitities を使ってデータベースからデータを取得し、ASP.NET MVC5 の Controller.Json メソッドを使って JSON 文字列にシリアライズしてみます。

using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Web.Mvc;
using Mvc5App.DAL;
using System.Data.Entity;

namespace Mvc5App.Controllers
{
    public class HomeController : Controller
    {
        public ActionResult Json()
        {
            var db = new BloggingContext();
            var list = db.Blogs.Include(b => b.Posts);
            return Json(list, JsonRequestBehavior.AllowGet);
        }
    }
}

上のアクションメソッド Json を呼び出すと、この記事の上の画像の通り、循環参照エラーになります。

(注: ちなみに、上のコードを var list = db.Blogs; に変えるとシリアライズの際に遅延ローディングが起こって "この Command に関連付けられている DataReader が既に開かれています。このコマンドを最初に閉じる必要があります" というエラーになります。var list = db.Blogs.ToList(); とすると、シリアライズの際に遅延ローディングが起こるのは同じですが、その時は DataReader が閉じているので循環参照のところまで進んで、上の画像と同じエラーになります)

ASP.NET Web API でも同様で、return db.Blogs.Include(b => b.Posts); とするとシリアライズする際に循環参照が生じて JSON へのシリアライズに失敗します。

原因は Post クラスにナビゲーションプロパティ Blog が定義されているためで、それをシリアライズしようとすると循環参照が発生し InvalidOperationException がスローされるからだそうです。ググってヒットした記事「ASP.NET Web API で循環参照なモデルの公開を解決する」を参考にさせていただきました。

その記事に書いてありますが、.NET Framework の ASP.NET Web API の JSON シリアライザは Newtonsoft の Json.NET のもので、JsonIgnoreAttribute Class という属性が利用できます。なので、上の Post クラスの Blog プロパティに [JsonIgnore] を付与すればシリアライズの際の循環参照エラーは回避できます。

しかしながら、MVC5 アプリで利用する Controller.Json メソッドは内部で JavaScriptSerializer クラスを使っており、JsonIgnore 属性は効果がありません。

なので、Microsoft のドキュメント「Create Data Transfer Objects (DTOs)」を参考にして以下のコードのようにしてみました。

public class BlogDto
{
    public int BlogId { get; set; }
    public string Name { get; set; }
    public List<PostDto> Posts { get; set; }
}

public class PostDto
{
    public int PostId { get; set; }
    public string Title { get; set; }
    public string Content { get; set; }
    public int BlogId { get; set; }
}

public ActionResult Json()
{
    var db = new BloggingContext();

    var list = db.Blogs.Include(b => b.Posts).
               Select(b => new BlogDto
               {
                   BlogId = b.BlogId,
                   Name = b.Name,
                   Posts = b.Posts.Select(p => new PostDto
                   {
                       PostId = p.PostId,
                       Title = p.Title,
                       Content = p.Content,
                       BlogId = p.BlogId
                   }).ToList()
               });

    return Json(list, JsonRequestBehavior.AllowGet);
}

ナビゲーションプロパティを除いた別の入れ物(上の BlogDto クラス、PostDto クラス)に入れてシリアライズしているわけですから、当然ながら循環参照の問題はなくなって JSON 文字列にシリアライズできます。

循環参照を避ける以外に、必要なデータだけを望む形で JSON 文字列にシリアライズするということも出来るわけですから、積極的に DTO を使うのが正解だと思います。

なお、.NET Core 3.0 以降には JsonIgnoreAttribute クラスが利用できるので、上の .NET Framework のケースとは話は違ってきて、MVC, Web API どちらの場合も循環参照になるプロパティに [JsonIgnore] を付与すればシリアライズできます。

(Microsoft のドキュメント Add Newtonsoft.Json-based JSON format support を見ると ASP.NET Core 2.x 以前は Newtonsoft.Json パッケージが、ASP.NET Core 3.x 以降は System.Text.Json が使われているそうです)

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MVC

DropDownList への SelectList の渡し方

by WebSurfer 2019年2月25日 14:37

ASP.NET MVC5 の Html ヘルパーの DropDownList および DropDownListFor に表示するデータを、アクションメソッドからビューにどのように渡すかということについて書きます。

DropDownList

上の画像は、先の記事「スキャフォールディング機能」で書いた通りにスキャフォールディング機能を使って自動生成させたコードで、その中の Edit 画面を表示したものです。

SupplierID と CategoryID が Html ヘルパーの DropDownList を使ってドロップダウン形式で表示されるようになっています。上の画像は CategoryID を展開したところで、CategoryName の一覧が表示されています。

スキャフォールディング機能で自動生成されたコードが基本になるでしょうから、それがどうなっているかを書きます。

まずアクションメソッド Edit で SelectList オブジェクトを生成し ViewBag に設定しています。以下のコードの通りです。

public ActionResult Edit(int? id)
{
  NORTHWINDEntities db = new NORTHWINDEntities();
  Products products = db.Products.Find(id);

  ViewBag.CategoryID = 
    new SelectList(db.Categories, "CategoryID", 
                   "CategoryName", products.CategoryID);

  ViewBag.SupplierID = 
    new SelectList(db.Suppliers, "SupplierID", 
                   "CompanyName", products.SupplierID);

  return View(products);
}

コンストラクタに SelectList(IEnumerable, String, String, Object) を使って、第 4 引数に selectedValue を設定しているところに注目してください。これによりビューの DropDownList が html に変換された際、select 要素内の当該 option 要素に selected 属性が付与されます。

ビューの DropDownList のコードは以下のようになります。第 1 引数がアクションメソッドで設定した ViewBag のキー名、第 2 引数が null になっているところに注目してください。

@Html.DropDownList("SupplierID", null, 
        htmlAttributes: new { @class = "form-control" })

@Html.DropDownList("CategoryID", null, 
        htmlAttributes: new { @class = "form-control" })

DropDownList の第 2 引数が null となっていますが、第 2 引数の設定に関わらず ViewData / ViewBag から型が IEnumerable<SelectListItem> でキー名が第 1 引数と同じものを探してきます。

(例えば、上記のアクションメソッドで ViewBag.SupplierID の設定を削除すると、ビューの DropDownList のコードで「キー 'SupplierID' を持つ ViewData 項目の型は 'System.Int32' ですが、'IEnumerable<SelectListItem>' でなければなりません」というエラーになります)

DropDownList の第 1 引数を元に ViewBag で渡されたデータ(アクションメソッドで設定された SelectList オブジェクト)を取得するので、上の画像の通りドロップダウン形式で表示できるようになります。さらに、SelectList コンストラクタの第 4 引数に設定した selectedValue によって当該 option 要素に selected 属性が設定された結果が表示されます。

なお、DropDownList の第 2 引数を (SelectList)ViewBag.Supplier としたりすると、SelectList のコンストラクタで第 4 引数に設定した selectedValue が無視されるので注意してください。理由は不明です。

ViewData / ViewBag に DropDownList の第 1 引数と同じキー名がない場合は、DropDownList の第 2 引数の設定が有効になるようです。例えば、アクションメソッドで ViewBag.SupplierID を ViewBag.Supplier に変更した場合、DropDownList("SupplierID", (SelectList)ViewBag.Supplier, ...) として selected の設定を含めて期待し��結果が得られます。

ViewData / ViewBag を探す順序ですが、検証してみると、まず最初に ViewData を、それになければ ViewBag を探すという結果になりました。ViewData / ViewBag に同じキー名があると、ViewData のデータが使われます。その際、もし ViewData のデータが不正ですと(IEnumerable<SelectListItem> 型でないと)エラーになります。

以上は DropDownListFor を使っても同様です。第 1 引数は model => model.SupplierID のようにします。このケースでは View に渡す Model を Products クラスとしており、その中に SupplierID プロパティが含まれています。そうでないと model.SupplierID はエラーになるので注意してください。

しかし、DropDownListFor は Products クラスの SupplierID プロパティからデータを取得するのではなく、プロパティ名 SupplierID から ViewData / ViewBag を探してその SelectList オブジェクトをリストに設定してくれます。

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MVC

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2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

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