WebSurfer's Home

トップ > Blog 1   |   ログイン
APMLフィルター

try - catch を書かないでロールバック

by WebSurfer 2020年7月29日 13:45

ADO.NET + SqlClient を使ってトランザクション処理を行う場合、明示的に Rollback メソッドを書かなくてもロールバックできるという話を書きます。

ロールバックを行うコードで自分がよく目にするのは、try - catch 文を使って try 句の中に処理をまとめ、catch 句に Rollback メソッドを書いて、処理の途中で例外が発生したらロールバックできるようにするというものです。

具体例は Microsoft のドキュメント「SqlTransaction.Rollback メソッド」にありますので見てください。

そのドキュメントにある catch 句で Rollback するというコードは、一見して例外発生でロールバックされるということが分かって良いと思うのですが、Exception を catch してそのままにしてしまっている所が気になります。

そこは、catch するのを SqlException のみにするとか Rollback した後で再 throw することで対応できるのですが、意地でも try - catch 文は書きたくないという場合もあるかもしれません。ないかもしれませんが。(笑)

Microsoft の Blog に書いてあったことですが(今はリンク切れで読めません)、未コミットのトランザクションは SqlConnection を Dispose(Close と同じ)する際ロールバックされるそうです。

ということは、catch 句に Rollback メソッドを書くというようなことはしなくても、try - finally または using 句を使って確実に SqlConnection が Dispose / Close されるようにしておけば例外発生でロールバックされるはずです。

実際「Microsoft Visual Studio 2005 による Web アプリケーション構築技法」という本にも Rollback メソッドを使わないコード例は紹介されていました。

具体例を以下の画像の SQL Server のテーブルと ADO.NET + SqlClient のコードを使って説明します。

SQL Server のテーブル

テーブルは「エラー発生時のトランザクションのロールバック - SET XACT_ABORT ON と TRY...CATCH」という記事から借用しました。フィールド StudentID には FK 制約が設定してあり 1 ~ 6 または NULL 以外を入力しようとするとエラーになります。

コード例は下の方にアップします。using 句を使って確実に SqlConnection が Dispose されるようにしています。Rollback メソッドは書いていません。例外が発生するとアプリは終了しますが、その前に using 句により SqlConnection が Dispose され、Commit メソッドは実行されませんのでロールバックされるはずです。

コード例では、上に紹介した記事にならって、3 つの UPDATE 文を実行しようとしています。最後の UPDATE 文で StudentID を 7 に設定し(1 ~ 6 または NULL 以外は FK 制約違反)そこで FK 制約違反となるようにして試してみました。エラーメッセージは以下の通りです。

ハンドルされていない例外: System.Data.SqlClient.SqlException: UPDATE ステートメントは FOREIGN KEY 制約 "FK__TestResul__Stude__22AA2996" と競合しています。競合が発生したのは、データベース "TestDatabase"、テーブル "dbo.Student", column 'StudentID' です。

static void Main(string[] args)
{
    string connString = @"接続文字列";
    string query = "UPDATE [TestDatabase].[dbo].[TestResult] " +
                   "SET [StudentID]=@StudentID " +
                   "WHERE [TestResultID]=@TestResultID";

    using (var connection = new SqlConnection(connString))
    {
        using (var command = new SqlCommand(query, connection))
        {
            command.Parameters.Add(
                new SqlParameter("@StudentID", SqlDbType.Int));
            command.Parameters.Add(
                new SqlParameter("@TestResultID", SqlDbType.Int));
            connection.Open();
            var sqltx = connection.BeginTransaction();
            command.Transaction = sqltx;

            command.Parameters["@StudentID"].Value = 5;
            command.Parameters["@TestResultID"].Value = 1;
            command.ExecuteNonQuery();

            command.Parameters["@StudentID"].Value = 6;
            command.Parameters["@TestResultID"].Value = 2;
            command.ExecuteNonQuery();

            // FK 制約違反
            command.Parameters["@StudentID"].Value = 7;
            command.Parameters["@TestResultID"].Value = 3;
            command.ExecuteNonQuery();

            sqltx.Commit();
        }
    }
}

結果、期待通りロールバックされて TestResult テーブルには 3 つの UPDATE 文のいずれも反映されないことを確認しました。

上に紹介した記事の Transact-SQL を使った場合の例では、SET XACT_ABORT ON を設定しない場合、TRY...CATCH を使って CATCH で明示的に ROLLBACK する必要があるそうです。しかし、ADO.NET + SqlClient では上のコード例のように SqlConnection を Dispose / Close すればロールバックされるようです。

Tags: , , ,

ADO.NET

About this blog

2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

Calendar

<<  2024年3月  >>
252627282912
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31123456

View posts in large calendar