Visual Studio Community 2015(以下、VS2015 と書きます)には Dispose パターンに準拠したコードの骨組みを自動生成する機能が追加されています。
2026/08/23 追記: Visual Studio 2026 でも調べてみましたが、同様な機能が実装されています。自動生成されるコードが少々異なりますが、基本的に同じです。

上の画像がそれで、IDisposable とタイプすると電球マークが表示されるので、その横の▼印をクリックすると Disposeパターンを選択できるようになります。
ここで、[Dispose パターンを使ってインターフェイスを実装します]にマウスをポイントすると以下の画像(Dispose パターンの骨組みのコード)が表示され、クリックするとそのコードがクラスに挿入されます。
([... 明示的に ...]の方を選ぶと、Dispose メソッドが IDisposable.Dispose と明示的に実装されます。その場合、クラスインスタンスから Dispose には直接アクセスできませんので注意してください。明示的の使い道は調べてなくて不明です)

そういう機能が追加されていることを知ってました? 実は自分は最近まで知らなかったです。(汗) VS2010 にはその機能はありませんでしたので、VS2012 ~ VS2015 のどれかから追加されたようです。
Dispose パターンの実装については、Microsoft のドキュメント「Dispose メソッドの実装」などに書かれていますが、読んでもよく分かりませんでした。(笑)
(ちなみに、VS2015 で自動生成されるのは上の Microsoft のドキュメントの「Dispose パターンには 2 種類あります」以下に書いてある後者の Object.Finalize メソッドをオーバーライドする方です)
VS2015 で自動生成されたコードと、ネットの情報「確保したリソースを忘れずに解放するには?」や「C# のファイナライザ、Dispose() メソッド、IDisposable インターフェースについて」などを読んで、やっと Dispose パターンを理解できたような気がします。
Dispose パターンの実装が必要なのは、アンマネージドリソースを使用するクラスのみです。アンマネージドリソースの種類で一般的なのは、ファイル、ウィンドウ、ネットワーク接続、データベース接続などのオペレーティングシステムリソースをラップしたオブジェクトです。
.NET Framework のクラスライブラリの中にも、例えば FileStream のようにファイルを開くために Windows API を呼び出してファイルハンドルを保持するというように、アンマネージドリソースを利用するものがあります。
そういうクラスは、IDisposable インターフェイスを継承して Dispose パターンを使った実装がされていて、Dispose メソッドでアンマネージドリソースを開放できるようになっているはずです。
ソースを見たわけではないので、.NET Framework のクラスライブラリの全部が全部そうなのかは分かりませんが、Dispose メソッドを実装しているクラスは内部でアンマネージドリソースを使っていると考えて、そのオブジェクトが使用されなくなった時点で Dispose メソッドを呼び出すことを基本とすべきと思います。
自分で作るカスタムクラスの場合、マネージドリソースしか保持しない場合は Dispose パターンの実装は不要です。必要なのはアンマネージドリソースを保持する場合のみですが、それには以下のケースがあると思います。
-
Dispose パターンを実装した .NET のクラスのインスタンスを保持している。
-
クラス内でアンマネージドリソースを取得し、それを保持している。
VS2015 のウィザードが生成する Dispose パターンの骨組みのコードを利用して、上記 1 および上記 1 + 2 のケースでコードを実装してみます。
上記 1 のケース
Dispose パターンを実装した .NET のクラスの例として FileStream を使いました。
public class DisposableSample : IDisposable
{
private FileStream? _fs; // マネージドリソース
private bool _disposed; // 重複呼出の検出用
public DisposableSample(string path)
{
// マネージドリソースの初期化
_fs = File.OpenRead(path);
}
public void Dispose()
{
Dispose(true);
}
protected virtual void Dispose(bool disposing)
{
if (_disposed) return;
if (disposing)
{
// マネージドリソースの解放
_fs?.Dispose();
_fs = null;
}
_disposed = true;
}
}
上記 1 + 2 のケース
アンマネージド(GC では解放できない)リソースとして Marshal.AllocHGlobal メソッドでプロセスのアンマネージドメモリから割り当てたメモリを例に使います。このメモリは、Marshal.FreeHGlobal メソッドを使用して解放する必要があります。
public class DisposableSample : IDisposable
{
private FileStream? _fs; // マネージドリソース
private IntPtr _nativeHandle = IntPtr.Zero; // アンマネージドリソース
private bool _disposed; // 重複呼出の検出用
public DisposableSample(string path)
{
// マネージドリソースの初期化
_fs = File.OpenRead(path);
// アンマネージドメモリからメモリを割り当て
_nativeHandle = NativeHelpers.AcquireNativeResource();
}
public void Dispose()
{
Dispose(true);
// Dispose() が呼ばれ、上の Dispose(true) が実行された
// 場合は Dispose(true) 内でアンマネージドリソースは解
// 放されるので、ファイナライザが実行されないようにする
GC.SuppressFinalize(this);
}
protected virtual void Dispose(bool disposing)
{
if (_disposed) return;
if (disposing)
{
// マネージドリソースの解放
_fs?.Dispose();
_fs = null;
}
// アンマネージドリソースの解放
if (_nativeHandle != IntPtr.Zero)
{
NativeHelpers.ReleaseNativeResource(_nativeHandle);
_nativeHandle = IntPtr.Zero;
}
_disposed = true;
}
// ファイナライザをオーバーライド
// Dispose し忘れても、ガベージコレクタが働いたときにファ
// イナライザが呼ばれるので、そこでアンマネージドリソース
// を解放するよう以下のコードを実装する。
~DisposableSample()
{
Dispose(false);
}
}
上のコードにある、アンマネージドリソースを取得・開放する AcquireNativeResource メソッドと ReleaseNativeResource メソッドの実装例を参考までに載せておきます。
internal static class NativeHelpers
{
// Acquire a native buffer (example: allocate N bytes)
public static IntPtr AcquireNativeResource(int size = 256)
{
if (size <= 0) throw new ArgumentOutOfRangeException(nameof(size));
IntPtr handle = Marshal.AllocHGlobal(size);
// Initialize memory to zero (optional, clear previous contents)
for (int i = 0; i < size; i++)
{
Marshal.WriteByte(handle, i, 0);
}
return handle;
}
// Release the native buffer
public static void ReleaseNativeResource(IntPtr handle)
{
if (handle == IntPtr.Zero) return;
Marshal.FreeHGlobal(handle);
}
}
プログラマが Dispose() するコードを書くのを忘れた場合でもガベージコレクタは働きます。ガベージコレクタではアンマネージドリソースは開放できませんがファイナライザは呼び出されるそうです。なので、上の ~DisposableSample() でファイナライザをオーバーライドし、その中で Dispose(false) を呼び出してアンマネージドリソースを開放するというパターンを実装するそうです。
Dispose() メソッドが呼ばれ、それから Dispose(bool disposing) メソッドが呼ばれてアンマネージドリソースを解放した場合は GC.SuppressFinalize(this) を呼び出します。
ファイナライザの実行はパフォーマンスに大きな影響を与えるそうですが、GC.SuppressFinalize メソッドを呼び出しておくと、ファイナライザの呼び出しは行われなくなります。
Dispose パターンを実装済のクラスを継承したカスタムクラスを作成し、そのカスタムクラスに Dispose パターンを実装済のクラスをメンバーに含める場合、メンバーに含めたクラスを Dispose するため、カスタムクラスにどのようなコードを書けばよいかについては、別の記事「Dispose パターン (その 2)」に書きます。