2007/11/30 記
昔使っていた計算機の話その1
今はどこの家にもパソコンがあって、ブロードバンド環境でインターネットに常時接続し、
ネットサーフィンや電子メールの送受信ができるのが普通なようです。むしろ最近では、
普通というより必須になってきているような気がします。
自分の家でも、テニスコートの予約やネット通販、子供の勉強での調べごとなどに利用するため、
インターネットにアクセスできないと困るとカミさんがウルサイので、パソコンとネット環境を整えたしだいです。
自分が始めてパソコンを買ったのは 1990 年代の初めごろですが、
その頃は家庭でパソコンを持っている人はまだごく少なかったはずです。ネット環境も、
その頃はまだインターネットではなく、PC-VAN などのいわゆる「パソコン通信」という限られた世界でした。
パソコンが家庭でも一般的になり、インターネットに接続して使われ出したのはそんなに昔の話ではないのですが、
環境は加速度的に変化(進化?)しているようで、ちょっと前とは隔世の感がありますね。
以下は、その「ちょっと前」の話です。
自分が物心ついた頃はパソコンなど陰も形も存在せず、計算に使う道具といえば、そろばん、計算尺、 手回し式計算器などがある程度でした。少し時代が進むと電卓が出てきましたが、当時は高価で、
個人ではとても買えるものではなかったと記憶しています。
右の写真は何だか分かりますでしょうか? タイガーというブランドの手廻し式計算器です。
これを使ったことがあるという方は、多分、団塊の世代以前にお生まれの理工系出身の方だと思います。
自分の時代にはもう使われなくなっていましたが、
実物がまだ大学の研究室や会社の倉庫に置いてあったのを見たことがあります。
実は、ちょっとだけ使ってみたこともあります。
ダイヤルの設定とハンドルを手で回しての計算にかなり手間と時間がかかるので、
とてもこれを使って計算する気にはなれなかったのを覚えています。
右の写真は計算尺です。対数の原理を利用して乗除算を行なうことができます。 また、対数や三角関数の計算もできるようになっています。ただし加減算はできません。
計算尺は、関数電卓が普及するまでの少しの間だけですが、自分も使っていました。
使い慣れると結構速く計算でき、重宝したそうです。でも、自分の時代にはすでにあの「カシオミニ」が発売されており、 電卓に手が届く時代になっていましたので、計算尺は使い慣れる前にお蔵入りとなってしまいました。
ただし、加減乗除のできる電卓は買えても関数電卓にはまだ手が届かなかったので、
対数や三角関数の計算には計算尺を使っていたと記憶しています。それも 1970 年代の中旬ぐらいまでで、
その後関数電卓が手に入ると、計算尺は全く使わなくなりました。
1970 年代の後半になるとワンボードマイコンが出てきました。
写真は 1976 年に発売が開始された NEC 製の TK-80 です。TK はトレーニングキットの略で、
マイクロプロセッサを使用した製品を開発する技術者のトレーニングのために発売されたそうです。
それが当時コンピュータに興味を持っていたマニアな人たちにも売れたそうです。
日本のパソコンの元になった製品の一つと言ってもいいかもしれません。
東京・上野にある国立科学博物館にも「多くの若者を魅了し、
後の情報産業に多大な貢献をした」との解説つきで展示されているそうです。
定価 88,500 円と当時としてはかなり高価だったし、マニアの玩具の域を出ないものですから、
ある程度収入のある大人のマニア以外が買えるものではなかったです。
もちろん自分には全く手の届くものではなかったです。
それでも、聞くところによると、5 ~ 6 万台も売れたそうですから、
世の中にはお金が余っている(?)物好きな人たちが結構多かったようです。
さらに 1979 年には PC-8800 が発売されましたが、その頃でも自分はまだパソコンは使ってなかった(買えなかった)です。
会社にも、少なくとも自分の回りには、パソコンは見当たらなかったと記憶しています。
そもそも、自分の通う事業場には、パソコンどころか、コンピュータというものがなかったんですよね。
自分の会社は、通信とコンピュータの製造を生業としていたハズだったのですが。(^_^;)
当時はコンピュータ(いわゆる、メインフレームというやつ)が別の事業場にあって、
それと専用線でつながった端末が自分の事業場に置いてありました。それからパンチカードでソースコードを入力し、
手動でコマンドを打ち込んでコンパイル、リンクして実行可能プログラムを作り、
それを RUN して、データはパンチカードで入力し、結果をラインプリンタ出力で受け取っていました。
今ならそんな手間のかかることはとてもやってられませんが、当時はそれでも便利だと思っていたぐらいで、
まったくストレスを感じなかったです。のんびりした時代でした。