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ASP.NET Core MVC の ClaimsIdentity

by WebSurfer 2020年2月4日 13:56

ASP.NET Core 3.1 Identity で、プロファイル情報を Claim として ClaimsIdentity オブジェクトに追加し、拡張メソッドを使って ClaimsIdentity オブジェクトからプロファイル情報を取得・表示する方法を書きます。

プロファイル情報の表示

.NET Framework ベースの Identity の場合は先の記事「プロファイル情報を ClaimsIdentity へ追加」に書きました。以下は、それと同様な仕組みを ASP.NET Core 3.1 MVC で実装する方法です。

Core 版 Identity にも、.NET Framework 版と同様に、プロファイル情報の一つとして PhoneNumber が IdentityUser クラスに定義済みです。(なので Entity Framework Code First で自動生成される DB のテーブルには PhoneNumber フィールドが含まれます)

先の記事と同様に、ユーザーがログインした際 PhoneNumber を認証クッキーに含めてブラウザに送信し、次の要求を受けた時に認証クッキーから PhoneNumber を取得して上の画像のようにページの右上に表示するコードを実装してみました。

それに何のメリットがあるかと言うと、認証クッキーからプロファイル情報を取得する方が、いちいちデータベースにクエリを投げて取得するより負荷は軽い(であろう)ということです。詳しくは先の記事を見てください。

問題は Visual Studio のテンプレートで自動生成されるコードのどこに Claim を ClaimsIdentity に追加するためのコードを書くかということです。

.NET Framework 版 MVC5 であれば、自動生成される Models/IdentityModels.cs に定義されている ApplicationUser クラスの GenereteUserIdentityAsync メソッドの中に「// ここにカスタム ユーザー クレームを追加します」とコメントが入っていてすぐわかるのですが・・・

という訳で、ネットで asp.net core add custom claim をキーワードにググって調べて、ヒットした以下の記事を参考にさせていただきました:

以下に、定義済みのプロファイル情報 PhoneNumber を Claim として ClaimsIdentity へ追加するコード、ClaimsIdentity からプロファイル情報を取得するための拡張メソッドのコードを載せておきます。上の 2 つの記事のどちらの方法でも OK ですが、下のサンプルコードでは前者の記事の方法を取っています。

ただし、Role を使っている場合は要注意で、上に紹介した記事にある UserClaimsPrincipalFactory<TUser> クラスを使うと Role が働かなくなります(例えばアクションメソッドに [Authorize(Roles ="Administrator")] を付与とすると Administrator ロールを持っているユーザーでもアクセス拒否されます)。

Role が使われている場合は UserClaimsPrincipalFactory<TUser> クラスに代えて、下のサンプルコードのように UserClaimsPrincipalFactory<TUser,TRole> クラスを使ってください。

using System.Linq;
using System.Threading.Tasks;
using Microsoft.AspNetCore.Identity;
using Microsoft.Extensions.Options;
using System.Security.Claims;
using System.Security.Principal;

namespace MvcCoreIdentity.Services
{
  // Role を使う場合 UserClaimsPrincipalFactory<TUser> では
  // なく UserClaimsPrincipalFactory<TUser,TRole> を継承
  public class CustomClaimsPrincipalFactory : 
    UserClaimsPrincipalFactory<IdentityUser, IdentityRole>
  {
    public CustomClaimsPrincipalFactory(
        UserManager<IdentityUser> userManager, 
        RoleManager<IdentityRole> roleManager, 
        IOptions<IdentityOptions> optionsAccessor)
        : base(userManager, roleManager, optionsAccessor)
    {
    }

    // ログイン操作でこのメソッドが呼び出される
    public async override Task<ClaimsPrincipal> CreateAsync(
                                          IdentityUser user)
    {
      var principal = await base.CreateAsync(user);

      // ここでは例として PhoneNumber を Claim として追加。
      // 未登録(DB 上で NULL)の場合 this.PhoneNumber プロ
      // パティは null を返す。null の場合は追加しても意味
      // がないので追加しない
      if (!string.IsNullOrEmpty(user.PhoneNumber))
      {
        ((ClaimsIdentity)principal.Identity).AddClaims(
          new[] { 
            // 下の「注1」を参照ください
            new Claim(ClaimTypes.HomePhone, user.PhoneNumber) 
          });
      }

      return principal;
    }
  }

  // 下の「注2」を参照ください
  // ClaimsIdentity から PhoneNumber を取得する拡張メソッド
  // PhoneNumber が Claims にない場合は null を返す。
  public static class MyExtensions
  {
    public static string GetPhoneNumber(this 
                                        IIdentity identity)
    {
      var claimsIdentity = identity as ClaimsIdentity;
      if (claimsIdentity != null)
      {
        var claim = claimsIdentity.Claims.
                    FirstOrDefault(c => 
                        c.Type == ClaimTypes.HomePhone);
        if (claim != null)
        {
          return claim.Value;
        }
      }
      return null;
    }
  }
}

上のコードの CustomClaimsPrincipalFactory メソッドが動くようにするには Startup.cs の ConfigureServices メソッドで以下のように設定する必要がありますので忘れないようにしてください。

public void ConfigureServices(IServiceCollection services)
{

  // ・・・中略・・・

  // 以下のコードを追加する
  services.AddScoped<IUserClaimsPrincipalFactory<IdentityUser>, 
      CustomClaimsPrincipalFactory>();

  services.AddControllersWithViews();
  services.AddRazorPages();
}

上の拡張メソッド GetPhoneNumber は名前空間をインポートすればスコープの中に取り込むことができます。例えば、上の画像のようにマスターページの右上に表示する場合は Views/Shared/_LoginPartial.cshtml に以下のように名前空間をインポートし @User.Identity.GetPhoneNumber() というコードを追加します。

@using Microsoft.AspNetCore.Identity
@using MvcCoreIdentity.Services

@inject SignInManager<IdentityUser> SignInManager
@inject UserManager<IdentityUser> UserManager

<ul class="navbar-nav">
@if (SignInManager.IsSignedIn(User))
{
    <li class="nav-item">
        <a id="manage" class="nav-link text-dark" 
           asp-area="Identity" 
           asp-page="/Account/Manage/Index" 
           title="Manage">
            Hello @UserManager.GetUserName(User) / 
            Phone @User.Identity.GetPhoneNumber() !
        </a>
    </li>
・・・以下略・・・

注1: Claim(String, String) コンストラクタの第一引数に ClaimTypes クラスのメンバーを使っていますが、Name, Email, NameIdentifier, Role フィールドは使用済みなので重複しないよう注意してください。必ずしも ClaimTypes クラスのメンバーを使う必要はなく、例えば "Phone" など任意の文字列でも OK です。

注2: 後で気が付いたのですがこの記事の例では拡張メソッドは必要なかったです。ControllerBase, RazorPageBase, PageModel クラスの User プロパティで取得できる ClaimsPrincipal クラスには Claim を取得するための FindFirst(String) メソッドがあり、上の _LoginPartial.cshtml のコードの場合ですと拡張メソッドに代えて以下のようにできます。

// 拡張メソッド利用
@User.Identity.GetPhoneNumber()

 ↓↓↓

// ClaimsPrincipal.FindFirst メソッド利用
@User.FindFirst(ClaimTypes.HomePhone)?.Value

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CORE

ASP.NET Core 3

by WebSurfer 2019年12月15日 20:53

ASP.NET Core 3 の本

ASP.NET Core の勉強を始めようと思って左の画像の本を買って PC に Visual Studio Community 2019 をインストールしました。

自分が今まで使ってきた Visual Studio 2015 にはすでに ASP.NET Core の開発環境が提供されていたのですが、先の記事に書いた「ASP.NET Core で文字化け」という問題があったのです。

まだ枯れてないフレームワークには他にもいろいろ不具合がありそうな気がしましたし、勉強を始めたはいいが途中で開発中止になってしまう可能性もないわけではありませんでしたし、手を出すのは時期尚早と思ってました。(言い訳です(笑))

どうやら開発中止になるどころか Microsoft も Core への移行を推奨するそうですし、2019 年 11 月にバージョン 3.1 がリリースされて安定してきたそうなので、時代に取り残されてはいけないと思って本を買ってきた次第です。

実は、上に紹介した時事を書いた頃少しだけ勉強したのですが、サーバー周りが旧来の ASP.NET とは大幅に異なっていて、今の知識が役に立たなそうなのにビビってました。

Model, View, Controller のコードの基本的なところにはそんなに違いはないようですが、それでもやはり従来の MVC の知識が通用しないところがありそうです。

.NET Framework ベースの ASP.NET の知識も十分とは言えない自分が余計なものに手を出すべきではないのかもしれません。

でも、ソフト開発でメシを食っているわけではない自分にとっては所詮趣味の問題に過ぎないので、自己満足できればいいと思うことにします。(笑)

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CORE

ASP.NET Core で文字化け

by WebSurfer 2017年6月16日 20:37

ASP.NET Core のプロジェクトで、スキャフォールディング機能を利用して生成した View に日本語を書き込むと、文字化けするという話を書きます。元の話は Teratail の記事「ASP.NET Core でスキャフォールディングすると文字化けする」です。(注: VS2015 ASP.NET Core v1 の話です。VS2019 ASP.NET Core v3.1 では直っていました)

ASP.NET Core での文字化け

上の画像で赤枠で囲った部分が問題の文字化けです。どのような理由でそうなるかを以下に説明します。

(注:何行にもわたって書き込むとサーバーエラーになり、"An error occurred during the compilation of a resource required to process this request. Please review the following specific error details and modify your source code appropriately. "�" is not valid at the start of a code block. Only identifiers, keywords, comments, "(" and "{" are valid." というエラーメッセージが出ることもあります)

検証に使った環境は以下の通りです。Visual Studio 2017 でも同じ問題が出るとのことです。

  • Visual Studio 2015 Community 2015 Update 3
  • ASP.NET Core Web Application (.NET Core) のテンプレート使用
  • Windows 10 Professional 64-bit
  • IIS 10.0 Express

そもそもの原因は、スキャフォールディング機能を利用して生成した View の文字コードが Shift_JIS になってしまうことです(日本語 OS の場合)。.NET Framework ベースの MVC プロジェクトの View はデフォルトでは BOM 付きの UTF-8 になります。それを Shift_JIS に変換しても文字化けの問題は出ません。何故か、Core では Shift_JIS では対応できず、上の画像のように文字化けします。

Fiddler を使って応答をキャプチャし、問題の文字 "�" のバイト列を調べてみたら EF BF BD となっていました。

MSDN ライブラリ「.NET で文字エンコーディング クラスを使用する方法」によると "Unicode デコーダーでは、デコードできない 2 バイトのシーケンスが REPLACEMENT_CHARACTER (U+FFFD) に置き換えられます" とのことです。U+FFFD は UTF-8 のバイト列では EF BF BD となります。

ということは、Shift_JIS の日本語の文字列は(多分、他の非 ASCII 文字も)、ASP.NET Core ではその文字列を処理する際デコードできず、REPLACEMENT_CHARACTER に置き換えられ、その UTF-8 のバイト列 EF BF BD がサーバーから送られてきたということのようです。

何故 Core ベースのアプリでは View の文字コードが Shift_JIS になってしまうのか、何故 Shift_JIS ではデコードできないのかは不明ですが、解決するには View の文字コードを UTF-8 にするだけで OK です。

ただし、Visual Studio のオプション設定などで自動的に UTF-8 で保存する方が見つかりません。なので、プリミティブな方法ですが、メモ帳で当該 View を開いて UTF-8 で保存し直すことでとりあえず解決しました。

最後に、上の画像を表示した View をどのように作ったかを書いておきます。

まず、以下のような Controller と Model を作ります。(Controller と Model が一緒になっているのは単に分けるのが面倒だったからです)

using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Threading.Tasks;
using Microsoft.AspNetCore.Mvc;

namespace AspNetCore.Controllers
{
  public class SampleModel
  {
    public string FirstName { set; get; }
    public string LastName { set; get; }
  }

  public class HomeController : Controller
  {
    public IActionResult Sample()
    {
      ViewData["SubTitle"] = "日本語";

      var model = new List<SampleModel>
      {
        new SampleModel() {FirstName="山田",LastName="太郎"},
        new SampleModel() {FirstName="日本",LastName="花子"}
      };

      return View(model);
    }
  }
}

上のコードにある SampleModel をベースにスキャフォールディング機能を利用して View を自動生成します。具体的には、以下の画像のように、Visual Studio のソリューションエクスプローラで、View のフォルダを右クリック ⇒[追加(D)]⇒[ビュー(V)...]で「ビューの追加」ダイアログを開き、必要な情報を入力して[追加]ボタンをクリックします。

「ビューの追加」ダイアログ

生成される View のコードは以下のようになります。文字コードは Shift_JIS になりますが、この時点では日本語が含まれていませんので問題は出ないです。

@model IEnumerable<AspNetCore.Controllers.SampleModel>

@{
    ViewData["Title"] = "Sample";
}

<h2>Sample</h2>

<p>
  <a asp-action="Create">Create New</a>
</p>
<table class="table">
  <thead>
    <tr>
      <th>
        @Html.DisplayNameFor(model => model.FirstName)
      </th>
      <th>
         @Html.DisplayNameFor(model => model.LastName)
      </th>
      <th></th>
    </tr>
  </thead>
  <tbody>
@foreach (var item in Model) {
    <tr>
      <td>
        @Html.DisplayFor(modelItem => item.FirstName)
      </td>
      <td>
        @Html.DisplayFor(modelItem => item.LastName)
      </td>
            
      ・・・中略・・・

    </tr>
}
  </tbody>
</table>

Visual Studio のエディタから上のコードの一部を、以下のように日本語にします。

@model IEnumerable<AspNetCore.Controllers.SampleModel>

@{
    ViewData["Title"] = "日本語";
}

<h2>@ViewData["SubTitle"]</h2>

<p>日本語</p>

<p>
  <a asp-action="Create">Create New</a>
</p>

・・・以下略・・・

これを Visual Studio のバイナリエディタで開いたのが以下の画像です。"日本語" の文字列が 93 FA 96 7B 8C EA と Shift_JIS のバイト列になっているのが分かるでしょうか。

バイナリエディタで表示

この状態の View を表示させたのが一番上の画像です。

文字化けしているのは ViewData["Title"] = "日本語"; として _Layout.cshtml に渡し、それから title タグに設定した文字列(一番上の画像で上の赤枠)と、<p>日本語</p> とした部分(下の赤枠)です。

Controller で ViewData["SubTitle"] = "日本語"; としたり、Model から DisplayFor 経由で View に渡した日本語の文字列は問題ありません。

一般的にまだ枯れてないフレームワークにはいろいろ不具合があると思いますが、今回の問題もそういった不具合の一つということでしょうか。

ちなみに、ビューのフォルダを右クリック⇒[追加(D)]をクリック ⇒[新しい項目(W)...]をクリック ⇒[MVC ビューページ]を選択して名前を付けて[追加(A)]をクリック・・・で生成される空の View ファイルは UTF-8 になります。なので、やはり本来は UTF-8 になるべきなのであろうと思います。

ググって調べてもこの問題は日本語の記事には見つからなかったのですが、英語の stackoverflow には同様な問題の報告がありました。

Special characters in Razor template not being encoded correctly

Asp net core MVC View creating view default encoding VS 2017

前者の記事のコメントに known issue だとして Encoding in scaffolded Items へのリンクが張ってあって、その記事によると "closed this on May 6 2016" となっていますが、直ってません。どういうことかは不明です。

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2010年5月にこのブログを立ち上げました。主に ASP.NET Web アプリ関係の記事です。

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