Transact-SQL の LIKE 句を使用して文字列の比較を行うときは、パターン文字列と比較対象文字列の中の空白の取り扱いに注意が必要です。
詳しくは MSDN ライブラリの LIKE (Transact-SQL) を見てもらうとして、ここでは ADO.NET や Visual Studio のウィザードで作る TableAdapter を利用する場合の注意事項を、例をあげて書いておきます。
例として、SQL Server DB に TestTable という名前のテーブルがあり、以下のフィールドを持っているとします。
FieldA nchar(5)
FieldB nchar(20)
TeatTable は以下の内容になっています。(下の画像では TestTable2 になっていますが、気にしないでください。(笑))
この Table を、以下の SELECT クエリを用いて、FieldA の 前 2 文字を指定して検索を行うとします。
SELECT FieldA, FieldB
FROM TestTable
WHERE (FieldA LIKE @FieldA + N'%')
まず、Visual Studio のウィザードを利用して、上記の SELECT クエリをベースに型付 DataSet + TableAdapter を作ります。デザイン画面で見ると、以下のようになります。
TableAdapter 作成された GetData メソッドを使って、その引数を "01" としてデータを抽出してみます。
結果は "01" しか抽出されません。FieldA = "01" で、"01", "01111", "012", "01234", "01457" がマッチするように思えますが、"01" しか抽出されないのは何故でしょう?
理由は以下のとおりです。
自動生成される TableAdapter のコードは、nchar(5) の場合、パラメータの追加部分は以下のようになります。
this._commandCollection[0].Parameters.Add(
new global::System.Data.SqlClient.SqlParameter(
"@FieldA", global::System.Data.SqlDbType.NChar, 5,
global::System.Data.ParameterDirection.Input, 0, 0,
"FieldA", global::System.Data.DataRowVersion.Current,
false, null, "", "", ""
)
);
この ... SqlDbType.NChar, 5, ... というところが問題のようです。SqlParameter.Size に 5 が設定されるので、FieldA = "01" の場合、クエリは LIKE '01 %'(01 と % の間に 3 文字空白)となって、"01"(実際は 01 の後に空白 3 文字あり) 以外はマッチしないということのようです。
MSDN ライブラリの SqlParameter.Size プロパティ の解説には "固定長データ型では、Size の値は無視されます。" と書いてあったんですが・・・
解決策は以下のとおりです。
-
FieldA の型を変更できるのであれば、nchar(5) を nvarchar(5) に変更して、型付 DataSet + TableAdapter を作り直す。
-
FieldA の型を変更できなければ、ウィザードベースで GetData メソッドを作るのは諦めて、自力でコードを書いて TableAdapter を拡張する。
上記 2 ですが、パラメータの追加の部分を以下のようにすると期待通りの結果になります。自力で書くのは面倒だからといって、自動生成されたコードを書き直すと、思わぬところで不具合を生じる可能性がありますので止めた方がいいです。
command1.Parameters.Add(
new SqlParameter("@FieldA", SqlDbType.NChar));
command1.Parameters["@FieldA"].Value = "01";
または、
command1.Parameters.AddWithValue("@FieldA", "01");
なお、先の記事 SqlParameter の Size 指定 で、長さ(SqlParameter.Size)の指定は 0 が良いと書きましたが、それは今回のケースでも当てはまっていました。以下のようにしても OK です。
command1.Parameters.Add(
new SqlParameter("@FieldA", SqlDbType.NChar, 0, "FieldA"));
command1.Parameters["@FieldA"].Value = "01";
------------ 2010/9/4 追記 ------------
パターン文字列の生成に使う型(パラメータ設定のデータ型)と比較対象文字列の型(テーブル定義のデータ型)を合わせる必要はないということに気がつきました。
パラメータ設定で SqlDbType.NChar を SqlDbType.NVarChar に変更しても OK です。すなわち以下のようにすれば、nvarchar(5) で文字列を組み立てるので、パターン文字列は '01%' となるはずです。
command1.Parameters.Add(
new SqlParameter("@FieldA", SqlDbType.NVarChar, 5, "FieldA"));
command1.Parameters["@FieldA"].Value = "01";
要するに、パラメータ設定で、SqlDbType.NChar とすると MSDN ライブラリの LIKE (Transact-SQL) の解説のセクションにある 2 つの SQL の前者、SqlDbType.NVarChar とすると後者のようになるということのようです。