by WebSurfer
2021年7月12日 10:30
.NET Framework 版の ASP.NET Web アプリで、クライアントによる要求の中断を検出してサーバー側の処理をキャンセルする話を書きます。(ASP.NET Core の場合は先の記事「要求の中断による処理のキャンセル (CORE)」を見てください)
クライアントによる要求の中断とは、上の画像の赤丸印の中のブラウザの ✕ ボタンをクリックするとか Esc キーを押す、Ajax を使っての要求の場合は XMLHttpRequest.abort() メソッドを実行することを意味します。
ASP.NET 4.5 以降には HttpResponse.ClientDisconnectedToken プロパティが追加されています。このプロパティで取得できる CancellationToken によって、クライアントが要求の中断操作を行った場合に操作を取り消す通知を配信できます。(ASP.NET Core の HttpContext.RequestAborted プロパティと同様)
ただし、ASP.NET 4.5 以降という条件以外にも、上に紹介した Microsoft のドキュメントに書いてあるように IIS 7.5 以降の統合モードでのみサポートされているということですので注意してください
Visual Studio 2019 を使って、以下のコードを [デバッグ(D)] ⇒ [デバッグの開始(S)] で IIS 10 Express で実行して検証してみました。検証に使用したブラウザは Edge v91.0.864.67, Chrome v91.0.4472.124, Firefox v89.0.2, IE11, Opera v77.0.4054.203 で、いずれもクライアントによる要求の中断によってサーバー側での処理の中断が確認できました。
using System;
using System.Web.Mvc;
using System.Threading.Tasks;
using System.Diagnostics;
namespace Mvc5App2.Controllers
{
public class HomeController : Controller
{
// ・・・中略・・・
public async Task<ActionResult> Cancel()
{
var token = Response.ClientDisconnectedToken;
Debug.WriteLine($"start: {DateTime.Now:ss.fff}");
await Task.Delay(5000, token);
Debug.WriteLine($"end: {DateTime.Now:ss.fff}");
return View();
}
}
}
ASP.NET Core MVC と違ってアクションメソッドの引数に CancellationToken を追加しても ClientDisconnectedToken プロパティで取得される CancellationToken はバインドされないので注意してください。なので、上のコードのようにする必要があります。(引数に追加すると CancellationToken がバインドされますが、それは ClientDisconnectedToken プロパティで取得できるものとは別物のようで要求の中断による通知は出ません)
上のコードの Task.Delay(5000, token) では渡した token を Deley メソッドの中で継続的に観察しているようで、このメソッドが実行が開始された後でもそれから 5 秒以内ならブラウザで要求を中断すると TaskCanceledException がスローされて処理が終わります。
ただし、Entity Framework を使ってデータベースにアクセスして処置を行うときに使う ToListAsync とか SaveChangesAsync などや、HttpClient の SendAsync とか PostAsync なども同様かどうかは調べてなくて分かりません。今後の検討課題ということで・・・